ご相談・提案事例
月約1,500件の確認電話。その先の工事日調整まで、AI電話対応をどうつなぐか
申込確認・工事受付を行う会社様

申込意思・費用・オプションを確認する電話と、別システムで行う工事日程の調整。月約1,500件の確認業務について、会話の自動化と後続処理を一体で整理した相談事例を紹介します。
確認するのは申込意思だけではない。費用やオプションへの質問も返ってくる
この会社様が行っているのは、申込を受けた後に、お客様の意思や契約に関わる費用、オプションなどを確認する電話です。決まった項目を順番に伝える場面がある一方で、説明を聞いたお客様から質問が返ってくるため、一方的に音声を流せば終わる業務ではありません。
同じ確認項目でも、お客様がすでに理解していることと、その場で確認したいことは異なります。用意した案内を読み終えたことと、お客様が内容を理解して次の手続きへ進めることは、別々に捉える必要があります。今回も、途中の質問に対応できるかが具体的な論点になりました。
月約1,500件という件数だけを見ると、架電する手間が目立ちます。しかし、この業務で引き継ぐ必要があるのは発信の操作だけではありません。何を確認し、何に答え、どの状態になったら工事日程の調整へ移るのか。会話の到達点を定めることから設計が始まります。
過去の問い合わせ記録を、答えられる範囲と人へ戻す範囲に分ける
打ち合わせでは、これまで蓄積してきた問い合わせと回答の記録を、AIの対応に使えないかという話がありました。現場で実際に出た質問は、一般的なFAQよりも、この業務で何が聞かれるかを把握する手掛かりになります。
そこで比較したのが、あらかじめ用意した録音を返す方式と、用意した知識を参照して会話を進める方式です。今回のように、申込内容の確認の途中で質問が入り、その意味を踏まえて回答する必要がある場合には、質問への対応範囲が方式を選ぶ軸になります。
ただし、記録をまとめて渡せば、すべての回答をAIへ任せられるわけではありません。過去の回答が現在の案内と一致しているか、条件によって答えが変わるか、担当営業に確認すべき内容かを整理する必要があります。範囲外の質問は営業側へ戻すという運用も、今回の相談に含まれていました。
記事から実務に持ち帰れるポイントは、FAQの件数を増やすことより、回答の境界を明確にすることです。確かな案内ができる項目は会話の中で解決し、判断できない項目は質問内容を残して人へ渡す。この区分があると、AIに任せる範囲を具体的に確認できます。
顧客情報と工事日程が別のシステムにある
もう一つの大きな論点は、確認に必要な顧客情報と、工事日程を調整する情報が、同じシステムに入っていないことでした。現状では、担当者が工事側の画面を見ながら日程を確認し、予約を取っています。
工事側のシステムについては、APIによる接続ができず、専用の接続環境を使うという説明がありました。AIが電話で希望日を聞き取れても、その情報を受けて工事の空き状況を取得できなければ、その場で日程を確定するところまでは進めません。
このため、ご要望は『確認電話をAIが話せるようにする』という範囲を越えていました。お客様から聞き取った内容を、工事日を決める工程までつなぎたい。その目的に対して、音声の自然さだけを確認しても、導入判断に必要な材料はそろいません。
| 工程 | 扱う情報 | 設計時に確かめること |
|---|---|---|
| 申込内容の確認 | 申込意思・費用・オプション | 何を説明し、どの回答を得れば次へ進めるか |
| 途中の質問への対応 | 過去のQ&A・現在の案内 | 回答できる範囲と営業へ戻す条件 |
| 工事日程の調整 | 空き日程・希望日・予約情報 | 情報の取得と予約操作が可能か |
APIがない場合、画面操作で何ができるかを実環境で確かめる
打ち合わせでは、RPAなどを使って画面上の情報を取得できるか、実際の環境を確認する話になりました。ここでのRPAは、人が行っている画面操作の一部を自動化する手段として挙がったものです。工事システムとの接続が実現した、という段階ではありません。
確認すべき点は、画面を開けるかだけではありません。業務上許可された環境で必要な情報を読めるか、候補日を選べるか、予約結果を確認できるか。さらに、画面の表示が変わったり、予約操作が完了しなかったりしたときに、人が状況を引き継げるかも運用上の論点になります。
これらは、この後の検証で整理する項目です。希望日を聞いた状態、空きを確認できた状態、予約登録まで終えた状態を分けておけば、途中で止まっても、お客様に何を案内できるかが明確になります。電話で伝えたことと、システムに登録されたことを一致させるための設計です。
電話の完了と、工事予約の完了を別々に見えるようにする
この案件を業務の流れで整理すると、確認電話と工事予約はつながっていながら、それぞれ完了の条件が異なります。会話が終わった時点で一律に『対応済み』にすると、営業への確認待ちや、日程調整が残っている案件を見分けにくくなります。
実装範囲を決める際には、まず確認電話だけをAIへ任せるのか、工事日程の取得まで含めるのか、予約登録まで目指すのかを切り分けることができます。接続条件が分かれば、どの範囲までをまとめて進めるか、どこを人が受け持つかを判断しやすくなります。
評価する際も、AIが何件電話したかに加え、人がどの作業を引き継いだかを見る必要があります。確認項目の聞き直しが必要なのか、質問への回答だけで済むのか、日程の登録だけが残るのか。残った業務を具体的に把握してこそ、次に自動化する範囲を選べます。
- 01
申込情報を受け取り、確認対象と説明内容を用意する
- 02
AIが確認を進め、回答範囲を超える質問は人へ戻す
- 03
接続可否を検証したうえで、工事日程の取得・予約操作を設計する
- 04
会話と予約の完了状況を分け、人が引き継ぐ作業を明確にする
AI電話対応の設計は、通話が終わった後まで続く
今回の相談で特徴的だったのは、月約1,500件の確認電話という規模に加えて、その後に工事日を決める業務が続いていたことです。音声対応だけを切り出して考えると、担当者が別画面を開き、情報を確認し直す工程がそのまま残る可能性があります。
コールフォースからは、質問に答えるための知識と会話の流れ、そして工事システムの情報を扱う方法を、あわせて確認する方向をご提案しました。打ち合わせ時点では、工事システムとの連携可否や、本番稼働後の成果は確認されていません。次の判断材料になるのは、実環境でどこまで処理できるかです。
確認電話の自動化を考える際は、その電話の後に誰が何をしているかまで整理してみてください。聞き取る、判断する、入力する、確定する。工程ごとの担当を明らかにすることで、電話の自動化を業務全体の改善につなげやすくなります。


